夏の暑さが少しずつ落ち着き、朝晩に秋の気配を感じるようになる9月。
過ごしやすくなってきた一方で、「なんとなく疲れが抜けない」「食欲が戻らない」「肌や喉の乾燥が気になる」など、夏の疲れを引きずったまま秋を迎えることもあります。
中医学では、季節によって体に影響を与える「邪気」があると考え、秋は「燥邪(そうじゃ)」の影響を受けやすい季節とされています。
また、夏に冷たいものを摂りすぎたり、暑さで食欲が落ちたりすると、胃腸の働きが弱っていることも。
そんな秋のはじまりに意識したいのが、「脾胃(ひい)をいたわり、気を補う食事」です。
今回は、秋においしくなる蓮根と、ほっこり甘いかぼちゃ、そして鶏肉を組み合わせた「鶏肉と蓮根とかぼちゃの煮物」を作ります。
秋の食卓に取り入れたい蓮根
蓮根は、シャキシャキとした食感が魅力の身近な野菜。煮物や炒め物、汁物など、さまざまな料理に使えるうえ、秋から冬にかけておいしさが増していきます。
薬膳では、蓮根は「清熱」「生津」「涼血」などの働きを持つ食材として考えられています。
特に、秋は乾燥によって体の潤いが不足しやすい季節。
蓮根は、秋の食卓に取り入れたい食材のひとつです。
また、蓮根は生で食べる場合と、加熱して食べる場合では、薬膳的な性質の捉え方が異なります。
生の蓮根は体の熱を冷まし、潤いを補う働きがあるとされる一方、加熱することで脾胃をいたわり、消化吸収を助ける食材として取り入れられます。
今回のように加熱することで、秋の食事にも取り入れやすく、やさしい味わいに仕上がります。
かぼちゃと鶏肉で、脾胃をいたわる
今回、蓮根に合わせたのが「かぼちゃ」です。
かぼちゃは、薬膳では「補気健脾」などの働きがある食材として考えられています。
「脾」は、食べ物から得た栄養を体に取り入れ、気や血をつくるうえで重要な役割を担うとされる、中医学における重要な概念です。
夏の暑さで食欲が落ちていたり、冷たいものを摂る機会が増えていたりすると、脾胃に負担がかかっていることがあります。
そんなときに、かぼちゃのような甘味のある食材を、温かい料理として取り入れるのもおすすめです。
さらに、鶏肉は薬膳では「補気」「温中」などの働きを持つ食材。
鶏肉、蓮根、かぼちゃを組み合わせることで、秋の乾燥を意識しながら、夏の疲れで弱りがちな脾胃をいたわり、体を支える一品に仕上げました。
レシピ:鶏肉と蓮根とかぼちゃの煮物

材料(2~3人分)
- 鶏もも肉 250g
- 蓮根 150~200g
- かぼちゃ 150g
- 生姜 1片
- ごま油 小さじ1
- 水 200ml
- 酒 大さじ1
- みりん 大さじ1
- 醤油 大さじ1と1/2
- 砂糖 小さじ1/2
作り方
1.材料を切る
鶏もも肉は一口大に切ります。
蓮根は皮をむき、7~8mm程度の半月切りにします。変色が気になる場合は、さっと酢水にさらして水気を切ります。
かぼちゃは種とワタを取り、3~4cm程度の食べやすい大きさに切ります。生姜は千切りにします。
2.フライパンまたは鍋にごま油を熱し、鶏肉を皮目から入れて焼きます。焼き色がついたら裏返します。
3.蓮根と生姜を加えて炒め、全体に油がなじんだら、かぼちゃを加え、水、酒、みりん、砂糖を加えます。
4.蓋をして弱火で7~8分ほど煮ます。かぼちゃがやわらかくなってきたら醤油を加えます。
5.蓋を外し、煮汁をかけながら全体を煮絡めます。かぼちゃが崩れないように、あまり混ぜすぎないのがポイント。
煮汁に照りが出て、鶏肉と野菜に味がなじんだら完成です。
秋の体を、毎日の食事から整える
薬膳というと、特別な食材や生薬を使うイメージがあるかもしれません。
でも、薬膳の基本は、季節や体調に合わせて食材を選び、毎日の食事に生かしていくこと。
秋は、夏の疲れを少しずつリセットしながら、乾燥する冬に向けて体を整えていく時期でもあります。
旬の蓮根、かぼちゃ、鶏肉を使った今回の煮物は、特別な材料を用意しなくても作れる、家庭料理感覚の薬膳です。
蓮根のシャキッとした食感に、かぼちゃのほっこりとした甘み、鶏肉のうま味が合わさり、ごはんにもよく合います。
季節の変化を感じたら、まずは毎日の食卓から。
秋の体をいたわる一品として、ぜひ作ってみてください。

